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そして、ひと粒のひかりの一のレビュー・感想・評価

そして、ひと粒のひかり(2004年製作の映画)
3.9
コロンビアに住む17歳の少女が、お金を稼ぐため麻薬を大量に飲み込んで密輸するという危険な運び屋をし、過酷な旅を描いた実話ベースの衝撃ドラマ

これがコロンビアの現実なのだろうか
劣悪な環境で胸が苦しくなるほどの負の連鎖
このどうしようもない虚無感は『ロゼッタ』『存在のない子供たち』『4ヶ月、3週と2日』らと近いけど、少女の成長を描いたロードムービーとしても非常に良くできている

17歳の少女が一家の大黒柱となり家庭を支えなければいけないこと自体が苦しいし、これほど身近に犯罪に触れられてしまう機会があると、どんな人でも不意に触れてしまう可能性もあるんじゃないかな

貧困から抜け出したくてどうしてもお金が必要な彼女の気持ちを利用し、麻薬を密輸させる
それも、スーパーボールほどの大きさの麻薬の入った袋を62粒も飲み込むなんて想像するだけでゾッとする

実際の元麻薬の運び屋を丹念に下調べしたリアリティ満載の脚本がスリリングな展開を後押してくれるので、話としてはむちゃくちゃ重いけど、脚本も役者も文句なしに素晴らしいでぐんぐん引き込まれる

特に、フライト中の飛行機での心理描写なんかは超サスペンスフルで、ハラハラドキドキが尋常じゃない

過剰な演出もなく全てが淡々と描かれるからこそ、物語の残酷さがどんどん浮き彫りになっていく
なにより追い込まれた困難な状況でも、決して下を向かず思いやりを持った優しい主人公のマリアの健気さで余計に胸が締め付けられる…

これほど重い映画でも最後に微かな希望の光はある
色々と考えさせられとても心に残る一本になりました

アカデミー賞にも主演女優賞としてノミネートされ、銀熊賞を受賞した主演のカタリーナ・サンディノ・モレノさんの“静”の演技も圧巻です…👏🏻
邦題も若干ネタバレちっくだけどあり👌🏻

〈 Rotten Tomatoes 🍅97% 🍿87% 〉
〈 IMDb 7.4 / Metascore 87 / Letterboxd 3.6 〉

2021 自宅鑑賞 No.025 GEO
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