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オットーという男のchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
3.0
スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」のハリウッド・リメイク、またの名を"不機嫌なフォレスト・ガンプ"。主演はトム・ハンクスで、主人公の若年時はハンクス息子が演じ、プロデューサーはハンクス妻と、トムによるトムのための映画です。これ単体で考えると普通にいい映画なのですが、オリジナルを観たことがあると批評的にイマイチなのも納得な感じです。

・オリジナル:サーブ vs. ボルボはどうなる?
ハリウッドでアメリカが舞台になるとこの世紀の車ブランド対決はどうなるでしょうか?これは観てのお楽しみに。予想外だったのが、オリジナルでBMWに相当するブランド。これは個人的には同グループの別ブランドを想定してました。ルノーの変更は米国での頻度的にまぁ妥当な線かな。

・お向かいの移民妻はリメイクが断然いい!
唯一オリジナルよりずっとよかったのは、本作では、越してきたイラン難民→メキシコ移民に設定変更されたマリソル。すごく愛らしくていいキャラでした😊

・ハリウッドらしい(?)大味な仕上がり
各カットをそのままコピーしながら撮影を進める"shot-for-shot"と呼ばれる手法のやや珍しいタイプのリメイクです。メジャーな作品だと「ライオンキング(2019)」くらいかな。というわけで演出の違いが嫌でも際立ちます。こちらのリメイクは笑いも涙もほっこりもとにかく濃い味付けでくっきりはっきり分かりやすく、食べ物で言うなら京都の裏路地のおばんざい料理がオリジナルで、国道沿いのファミレスのランチがこちらのリメイクといったところでしょうか?というと悪口っぽいけど、あくまでそういった安っぽさ・あざとさは"相対的"なものであり、単体として考えれば決して悪くありません。

・主人公への共感度は低め
オリジナルと大きく異なるのは、主人公の若年時の描写がかなり大胆に省略されていることです。オリジナルでは丁寧にしっかり尺を使って若年時が描かれるため、どうして主人公が偏屈おやじになってしまったのか、その偏屈おやじぶりに隠れた本当の人となりもよくわかって、結果大げさに煽らなくても心から自然に主人公に共感し、物語に感動することができました。に対してこちらのリメイクは主人公の人物像=トム・ハンクスですこれでわかるやろ、いや、ようわからんけど映画のほっこり"演出"で無理矢理感動"させられた"かも的な...

・結末は変更されたのか?
ネタバレコメントで。
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