鷲尾翼

それでも私は生きていくの鷲尾翼のレビュー・感想・評価

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#1099

【まとめ】
* レア・セドゥの普遍的な女性像
* 記録と視力が衰弱した父親
* 題名は、彼女の覚悟

レア・セドゥ演じる主人公・サンドラは、夫を亡くした後に通訳の仕事につきながら8歳の娘を育てるシングルマザー。レア・セドゥが演じる主人公の姿は、共感の多い女性像だ。衰弱に向かう父親の介護はもちろん、娘を育てるシングルマザーでありながら、女性としての恋愛の向き合い方も描いている。そして、ありのままの女性像をイメージした彼女の普遍的な演技が、共感の多い女性の生き方に思える。

本作でもうひとつ重要な人物なのが、パスカル・グレゴリーが演じる主人公の父親だ。哲学教師だった父親は、今でも生徒だった人に感謝されるほど信頼の厚い人物。しかし、記憶と視力が徐々に失う病を発症し、物語が進むに連れて病も進行する。衰弱に向かう姿は、とても悲しい。その悲しさのままに介護をする主人公の心境も、複雑になる。

本作の題名は、彼女の覚悟の言葉だ。
自分の人生は思ったようにいかない。自分で作れるものもあるが、作れないものもある。この先の幸せもあるが、悲しさもわかってしまう。だからこそ、彼女の心境は題名の言葉に落ち着くのだろう。
鷲尾翼

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