鷲尾翼

イノセンツの鷲尾翼のレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#1102

【まとめ】
* 大人には知らない子供の悪心
* 能力の成長が、最悪に進む
* この罪と罰は、夏に残り続ける

本作に登場する子どもたちは、闇を抱えている。子供特有のわがままな嫉妬心や未熟な倫理観が、偶然手に入れた超能力によって純粋な悪心が芽生え、育ってしまう。そして、本作で印象的なのが、子供たちの親も含めて大人たちは知らずに物語が進んでいるということ。ある意味、無法地帯のような空間だが、子供達だけで正義を判断しなければいけない。

本作でヴィラン的な役柄なのが、サイコキネシスなどの不思議な能力を持つ男の子・ベン。彼の家庭は育児放棄や虐待の跡が残る。そんな家庭で育ったベンの遊びも倫理観のないものばかり。やがて、能力も成長したベンは物語を次々と最悪な方向に導く。

本作の結末は、残り続ける。
大人は知らない子供たちのサイキックな喧嘩で生まれてしまったことは、罪と罰に思うのだろう。未成熟な気持ちに対して、この夏の思い出は忘れることができない。いつもの団地に漂い続けるものに、今日も大人は気づかない。
鷲尾翼

鷲尾翼