KeN

愛と哀しみのボレロのKeNのレビュー・感想・評価

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)
3.8
BSプレミアムシネマの録画にて。久しぶりに再見。

「人間の歴史には2つか3つの物語しかない。それらは残酷なほど何度も繰り返される。毎回 それが初めてであるかのように。」by ウィラー・キャザー

ルドルフ・ヌレエフ、ヘルベルト・フォン・カラヤン、エディット・ピアフ、そしてグレン・ミラーらをモデルとして語られるクロード・ルルーシュ脚本・監督の叙情詩的な物語。第二次世界大戦を挟み、戦争や時代に翻弄された異なる家族たちの人生が複雑に交錯したスケールの大きなヒューマン・ドラマ。3時間超の長尺ながら非常に見応えのあるルルーシュの代表作のひとつ。最初 何の接点ももたぬ家族が時や世代を超えて、音楽を通じて次第に紡ぎ合わされいき、クライマックスとなるジョルジュ・ドンによる「ボレロ」のバレエ・シーンへと“昇華”されていく展開は見事。
フランシス・レイとミッシェル・ルグランというフランスを代表する映画音楽の巨匠ふたりが音楽を担当しているのだから、当然のことながらラヴェルの「ボレロ」以外も劇中で使わるれる音楽すべてが非常に素晴らしく、サントラを聴くだけでも十分に価値があると思う。特に劇中で何度も流れる「Paris Des Autres(占領下のパリ)」という挿入歌などはとてもオシャレなナンバーで私の大好きな曲♪

この大作にひとつ苦言を呈するならば、主要な役者の多くが親子2代の役をひとり二役で演じたりしてるので、観ていて なんか話がややこしく感じられる部分があるところか…(苦笑)

しかし、ナチス・ドイツ時代に協力的だったという理由から、1955年に“クラシック界の帝王”カラヤンがベルリン・フィルを率いてカーネギーホールで戦後 初のアメリカ公演を開いた時、チケットはすべて完売なのに聴衆はヘラルド・トリビューンとニューヨーク・タイムスの記者のふたりだけであったというクラシック界では非常に有名なエピソードがこの作品の中でも象徴的なシーンとして盛り込まれいるが、ナチス・ドイツに協力的であったアーティストらに対する世界のユダヤ人団体などの反発や怨みがいかに凄まじいものであったか、この作品を観るとよくわかる…


Love & Peace✌️
KeN

KeN