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スノーデンのKeNのレビュー・感想・評価

スノーデン(2016年製作の映画)
3.7
U-NEXTにて。初見。

「議論を始めるための情報がなければ我々は迷子です。政府に疑問を呈し説明を求められることが重要です。米国はこの基本の上に成り立ってるのです。国の安全を守りたければこの基本を守るべきです。」by エドワード・スノーデン

アメリカ国家安全保障局(NSA)の元局員でコンピュータ技師のエドワード・スノーデンが2013年にNSAによる国際的監視網(PRISM)の実在を『ガーディアン』誌に暴露した事件をオリバー・ストーン監督が描き出した社会派ドラマ。
事件のことは連日ニュースで報じられていたのでよく覚えているが、オリバー・ストーンがこの事件を題材に映画作品を製作していたとは知らなかった。

小説や映画などフィクションの世界では、米国や中国、ロシアなどの諜報機関がネットや通話記録などのビックデータを監視するシステムが他国のみならず国内にも張り巡らされているような描写がされている作品が以前から数多く存在したので、このガーディアンによる暴露記事が世界中に発信された時、「あぁ、やっぱり現実世界で行なわれていたことなんだ…」とあまり意外性を感じなかった。しかし、実際にこの作品を通して現実にNSAやCIAが米国国内や中東地域で、また米国の同盟国であるここ日本で行なわれていた諜報活動や情報収集の姿やその目的を突きつけられると本当に背筋が寒くなる。しかも、それは世界の平和や秩序を守るといったものではなく、あくまでも米国政府の国益を守ることを最優先に考えた不法な監視システムであることを考えると本当に恐ろしい…。スノーデンが言っていたようにネットを用いて日本の脆弱なインフラシステムを破壊することなど本当に容易いことなのだろうなぁ…怖ッ!
しかも、今現在 急激なまで進化を遂げているAIの技術を用いたら、こうした情報収集や破壊活動は尚さら容易になるわけで、フィクションの世界で描かれていたようなディストピアな世界が現実のものになりつつあることは間違いない。この作品に登場するスノーデンらのような良識ある技術者やジャーナリストたちが世界の人々に警鐘を鳴らし続けない限り、この世界は近い将来『1984』に描かれていたようなディストピアな世界に染まってしまうのではなかろうか…?
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