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デトロイトのKeNのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
3.8
U-NEXTにて。初見。

『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督が、1967年のデトロイト暴動の最中 アルジェ・モーテルで起こった事件を扱った社会派作品。
人種問題や宗教問題に疎い島国で生まれ育った我々 日本人からすると、この手の作品を目にする度に「なぜ…?なぜ こんな酷いことが起こるのか…?」という思いが直ぐに生じるけど、世界を見渡すと むしろ日本人の感覚こそが稀有なものであり、今さらパレスチナ問題や米国国内などの人種間の軋轢を挙げるまでも昔も今現在も世界中にレイシズムの波が渦巻いている…。いや、残念ながら“外国人”労働者やツーリストたちが増えつつある ここ日本でも似たようなレイシズムが徐々に浸透しつつあるか…。

しかし、私も大好きなR&BグループThe Dramaticsのオリジナル・メンバーがこんな酷い事件に巻き込まれていたなんて……。ベトナム戦争の最中 デトロイトで大きな暴動が起こったことは、その後 ここデトロイトからロサンゼルスに本拠地を移したモータウン・レーベルの歴史などを通じて知っていたけど、この「アルジェ・モーテル事件」は全く知らなかった…。

劇中にもMartha & the Vandellas「Nowhere To Run」やThe Temptationsの「Get Ready」などモータウンから生まれた素晴らしき名曲が使われていたけど、当時 次々と最高のモータウン・サウンドを生みだしていた“車の街”デトロイトの街そして人々がこんな風に荒れ狂う姿を見るのはモータウン・サウンドをこよなく愛する者からすると本当に悲しい…

映画の本筋からちょっと外れるけど、ラジオから流れるMarvin Gaye & Tammi Terrell「Your Precious Love」からJohn Coltraneのバラードの名曲「I Want To Talk About You」へと切り替えるシーンが自分的にはなんとなく印象的。あと、モータウン全盛期の頃の「Motown Review」を生で観てみたかったなぁ…
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