KeN

白い暴動のKeNのレビュー・感想・評価

白い暴動(2019年製作の映画)
3.2
Amazon Prime Videoにて。初見。

「人は自分を無力だと考えがちでお偉いさんの言いなりになる。だがロック・アゲインスト・レイシズムは一般市民でも世界を変えられることを証明した。」by レッド・ソーンダズ


経済破綻を機に社会不安が拡がりNFなど極右政党が台頭し人種差別が激しくなりつつあった1970年代半ばの英国で、それに対抗すべく沸き起こったムーブメント「Rock Against Racism」を活動を描いた社会派のドキュメンタリー作品。「Rock Against Racism」発足当時から1978 年4月「Carnivals Against Racism」と題してロンドン市内でのデモ行進の後、The ClashやTom Robinson Band、Steel Pulseらが出演し10万人ほどの観衆を集めてビクトリア・パークで行なわれた野外コンサートに至るまでの歴史を当時の映像や関係者たちのインタビューなどで丁寧に描き出している。音楽ファンからすると、The ClashやTom Robinson Bandのライヴの様子をもう少し観たかった気もするが、あくまでもRARの活動をクローズアップした作品なので仕方ないか。
日本人からすると当時の英国国内の状況が今ひとつ分かりにくいところだけど、そのへんは時代がちょっとズレるが『THIS IS ENGLAND』などの映画作品も併せて観たら理解しやすいかも。
思えば、当時 イングランドのFootballのサポーターたちがこの頃 フーリガン化していったのもNFの影響が非常に大きかったはず…

いつの時代にもどんな国や地域にも必ずや歪んだ思想を抱く愛国者やレイシストたちは数多く存在するけれど、こうした者たちに自分たちの国の舵をとらせては絶対にならないし、もしそんな状況に置かれたとしたら この作品に描かれたRARのメンバーのように信念をもって声を上げねばならないと思う。
KeN

KeN