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アスのKeNのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
3.5
U-NEXTにて。初見。

「それゆえ主はこう言われる、見よ、わたしは災を彼らの上に下す。彼らはそれを免れることはできない。彼らがわたしを呼んでも、わたしは聞かない。」by 旧約聖書『エレミヤ書』11章11節

やっぱり このジョーダン・ピールという監督も凄いなぁ。正直 この作品のようなホラーがかったサスペンスというジャンルは私の好みではないけど、前作の『ゲット・アウト』の時もそうだったけど、この監督の作品は常に現代社会への痛烈な風刺やメッセージ性が多分に含まれていて深い。『ゲット・アウト』では人種差別をテーマにしていたが、今作では現代社会の中での貧富問題や階級差別を“ドッペルゲンガー現象”的なホラーで痛烈に風刺している。
映像的にもスタンリー・キューブリックの『シャイニング』やヒッチコックの作品などから恐らく影響を受けたであろう手法が各所に見られ、視覚効果を非常に意識した極上のスリリングさを味わせてくれる。
また、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』のように地下の世界にアリスを迷い込ませたウサギの演出を始め、マイケル・ジャクソンのスリラーTシャツ、『13日の金曜日』のジェイソンのマスク、そしてビーチ・ボーイズの「Good Vibrations」からN.W.A.の「Fuck tha Police」へとBGMが切り替わるシーンなど、ジョーダン・ピール特有のユーモラスなセンスが堪らない。

私的には最新作の『NOPE/ノープ』は今ひとつだったけど、彼が監督・脚本を手掛けた『ゲット・アウト』そして この作品はなかなか面白かった。今後の彼の新作にも大いに期待。
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