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東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-のMaUのレビュー・感想・評価

3.4
血のハロウィン編完結。GWの前編に続き映画館で鑑賞。ヤンキー群像劇ながら、これだけの役者陣を当てて原作の世界観を壊さないように作り上げているので見逃せず。

対立するチームの抗争。かつて仲間だったはずの彼らがなぜ敵対するチームに分かれたのか。それぞれのメンバーの思いや裏のエピソードを交えながら抗争は決戦のときへ。そして哀しい結末へ。

喧嘩シーンが半分を占めているのでかなりのバイオレンス、とはいえ、役者陣のアクションがすごい。所作が板についていて幻滅することなく流れを追ってしまう。物語の裏にはチームの設立、寂しさを癒やす人の愛、そこに紡がれている友情が描かれ、殴り合いを見ながら泣けるという矛盾。このエネルギー、方向性が違っていたら、と思いながら、ボタンのかけ違い、嫉妬、狂っていく歯車に翻弄される少年たちのドラマを見守った。

今作はとにかく場地(永山絢斗)がいい。この話の芯。静かな佇まいに秘めている深い思いや悲しみの表現もうまい。公開中止にならなくてよかった。そして、それを慕う千冬(高杉真宙)がいい。ペヤングを見たら二人を思い出して泣く気がする。チームのリーダー格のマイキー(吉沢亮)とドラケン(山田裕貴)は作を重ねるごとにまとっていく風格がすごい。アクションは二人とも一流。そしてタケミチ(北村匠海)は、タイムリープを重ね、ただがむしゃらな時を経て、なんとか未来を変えなければという強い忍耐をこちらと共有している感じがいい。間宮祥太朗、前田郷敦、清水尋也、杉野遥亮もそれぞれの存在感。原作を裏切らないキャスティングでコミックファンも納得なのではないかな。

ある種時代劇のような戦いの構図。その裏にあるのは一人ひとりの心の寂しさや愛を求めての彷徨い、友情の裏にある憧れや渇望や嫉妬。虎視眈々と狙う野心。結局避けられない虚しい戦いにはため息が出てしまうけど…

時間は短いけどうまくまとまっている。ちなみに原作は既読。
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