オルキリア元ちきーた

ゴジラ-1.0のオルキリア元ちきーたのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.0
かつて、ゴジラは神であって
その神の怒りのブレスを吐かせてしまったら
人間如きが立ち向かえる様な生易しい存在ではなかったはずなんだけど
この「令和版で作った昭和のゴジラ」は
随分と緩い存在に成り下がってしまった様に思う。

特攻として出陣した筈なのに
生きて帰りたかったがために
嘘の整備不良で不時着した特攻隊員の
「終わらない戦争」にわざわざ付き合ってくれたり

ろくに仕留める確実性も得られないままに
戦後の疲弊した民間人がやっつけのワンチャンで編み出した作戦で封じ込められた様なカタチを取ってあげたり

ゴジラって、そんなに
人間の都合に寄り添ってくれる存在だったっけ?

もっと絶望的に
コントロールの出来ない存在として

その存在は
まさに
天変地異とか
メルトダウンした核施設とかみたいな

奢った人間の行き過ぎた過信を戒める脅威として存在して欲しかった。

みんなで頑張ってチカラを合わせれば
この危機を乗り越えられる!みたいな
ヌルい希望なんて存在しない。
だからこそ、今ここで持ち寄れる知恵と
ガムシャラな勇気と
次の世代のための犠牲があってこその
微かな希望とカタルシスと
警告とエールが入り混じった破壊のメッセージが
ゴジラの恩寵なのだと思っていた。

ロクな伏線も引かずに
やっつけ仕事で何とかなってしまう様な
神の怒りは、そのまま次の世代に引き継がれて、シン・ゴジラへと至る、って事なんだろうか?

何のために神は怒りの暴走をしたのか?が
ちっぽけな人間の都合の良い後悔に絡め取られて
ぼやけてしまっていた。

恐怖の破壊神の存在って、令和ではこの程度か。