怪物のionのネタバレレビュー・内容・結末

怪物だーれだ。
沁みた。人と見に行ったけど、一人で観に行けば良かったなぁと思う映画だった。
心の中でゆっくり咀嚼して、静かな水の中で想いに耽りたい気持ちになる。

展開を追うごとに真実に近づいていく構成もわくわくして面白いし、映画の傍観者でなければ自分の主観でしか物を見ることができないから、いやでもすれ違いは生まれていく。
私たちの生活も大抵、完全な悪なんて誰もいなくて、人間それぞれの人生とそれぞれの正義があるのかもしれない。

湊と依里の秘密基地がずっと痛かった。
周囲に受け入れる環境があった上での秘密の関係なら、どんなに楽しかったか。
自身の抱える悩みに対して、小学生は思ったよりずっと大人で、でもやっぱり子供な描写がすごくうまかった。全員演技もめちゃくちゃうまくて作品に入り込めた。
だから子供を産むのは怖いんだ、と私は再確認したけど、そんなのお構いなしにポンポン人間を産む世の中はすごい。

ただキーワードである「生まれ変わり」に対して、宇宙が膨張しきったら時間が逆行するって話を当てていたのがちょっと腑に落ちなかった。それは生まれ変わりというより巻き戻しなのでは…？

ただ全体的に好きな監督と好きな脚本家と好きなキャストだらけでもう眼福な作品だった。小説版も読んでみたい。