LAMB／ラムのionのネタバレレビュー・内容・結末

静かで不思議で、常に不穏の霧がかかった映画だった。ホラー映画ではないのでホラー苦手な人も大丈夫。

特に劇的な山があるわけではなく、日常がどんどん不穏さを増していく。

絵面は美しくて、でもずっと不穏で不気味な雰囲気はすごく好きだった。
平穏な暮らしから一変、何かに固執して静かに狂った人間の羊への接し方の変化や環境の変化。

羊と人間のキメラの形をしたアダ。
彼に狂わされていく夫婦。
アダには人間を魅了する不思議な力があるのかと思ったが、娘を亡くしたショックからその奇跡に固執していたのか。

無くしたものの代わりを立てて、その幸せを求めるばかりに狂う。
羊のアダを愛していたのではなく、彼を通して亡くなった娘を愛しているようで、人間の愛は非常に自己中心的なエゴだなと感じた。

ラストはよく分からなかった…。
どう感じていいのか分からない気持ち悪さだけが残り、消化不良で考察を漁ることになった。
親から子をもぎ取って親を殺して、最後は同じようにもぎ取られ殺される。
アダは育ての夫婦との生活と実の親のことを、どう思っただろう。