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ミリオンダラー・ベイビーのionのネタバレレビュー・内容・結末

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ギ〜〜〜〜〜〜!!やるせない気持ち〜〜〜!!最後救いなく終わっていくからエーーーー!!!オワリーーーーー!!!?!って思わず言ってもた。

敏腕老コーチと女ボクサーがひよっこから世界タイトルを目指すお話……かと思ったら、中盤で卑劣な相手からの反則1発で脊椎がやられて病院で寝たきり状態になり、葛藤とその最期までが描かれる。
あまり事前情報なしで見たのでエッエッとなりながら見た。

貧乏育ちで何もない彼女と、敏腕だけど癖の強いコーチがボクシングを通して信頼し合っていく過程は見ていてワクワクするものだったし熱くなるものがあった。
そう上手くいき続ける訳もないのでドキドキしながら見ていたらまさか全身麻痺の寝たきりになるとは。
怪我させてきた対戦相手がその後どうなったのか分からないが、何か制裁を与えておいてくれないと怒りが収まらない…。ただその部分を一切描かないというのがこの世界の「自己責任と覚悟しておくこと」を強調し、理不尽さが際立っていてニクい演出だなぁと思った。
死にたいと願う彼女に対して殺したくないイーストウッドの「でも生かすことは殺すことだ」という言葉と、彼に対してモーガンフリーマンの言った言葉が印象的だった。「毎日人は死ぬ。自分の人生を悔いながら死んでいく。でも彼女に悔いはない。それなら俺も満足だ。」
私も立場がマギーなら殺して欲しいと強く願うだろう。やりたいことをやりたいままにやり切った。きっとあの時のことに後悔がないと言えば嘘にはなるけれど、この人生を選んだこととあの歓声に誇りを持ってこのまま死にたい。
ただイーストウッドの複雑な気持ちと葛藤も大いに分かる。彼女の気持ちを分かっていても自分の手で殺す選択をするのは相当な覚悟がいる。そして最終的に選んだ道は、きっと彼女にとっては救いだったと思う。モ・クシュラの意味を知り、愛するコーチの手で、きっと幸せな気持ちで眠りについただろう。
ただ、その選択を取ったという事実はあまりにも重く、この先ずっと消えることのない大きな鉛となったろう。
最後にハッピーエンドを取らず消息不明にしたことで、この重さをそのままに私たちにまで引きずらせようとしてきてズルい…!!引きずる!!

私は彼女より長生きするかもしれないが、彼女より意味のある、後悔のない死を遂げられるだろうかと考えてしまう。
だらだら生きている自分と比較させられ、考えさせられる作品だった。

ライティングに関しても光と影のコントラストがバチバチに強く絞られている画面が多くて、心理描写が表現されているのが面白かった。ボクシングらしさを感じるのも良い。

スポーツ映画ならではのスカッと!気持ちいい終わり方を期待して見るものではなかった
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