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せかいのおきくのskm818のレビュー・感想・評価

せかいのおきく(2023年製作の映画)
3.7
江戸の長屋に暮らす落ちぶれた武家の娘おきくと糞尿回収業の若者2人(ヤスケとチュウジ)。事件といえば、大雨で長屋のトイレが溢れて大惨事になること、おきくの父が仇討ちか何かで殺されてしまうこと、おきく自身も重傷を負い声を出せなくなってしまうこと、糞尿の買取額が次第に吊り上げられて生活が苦しくなること、くらいだろうか。後半はやすけたちへの暴力もかなり出てくる。武家屋敷の下っ端や羽織をつけた農家のおっさんなどが彼らを蔑み頭から糞をかけたりする。長屋の人たちはそんなことはしない。彼らのことを気にかけ、来てくれないと困ると思っている。実際ちょっと彼らが来ないと溢れた糞尿で通路は悲惨なことに… 描かれている長屋の暮らしが興味深い。四方遥拝ってあんなふうにするのねとか、朝になったらみんな「出勤」していくんだなとか。佐藤浩市演じるおきくの父や石橋蓮司演じる元棺桶屋の男もよかったなあ。それに住職。淡々と日常を描いてる話で、なにが言いたいのかよくわからないところもあるし、むちゃくちゃ面白いということもないんだが、こういう感じけっこう好きだ。
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