へたれ

君たちはどう生きるかのへたれのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
2.9
良かったとこ 作画の懐かしさと新しさの共存
自動車の急停車で車体が少し歪むとか、コップで水を飲むと水滴が口からこぼれるとか、床を這いつくばる時の指の動きとか、崩れゆく階段を走ってのぼるとか、これまで宮崎駿作品で見てきたモチーフの数々が随所に出てくるので、そういうアクションを懐かしむのは楽しかった。
一方で、オープニングの火事のシーンのように、少し絵画に寄せた群衆と炎の描き方など、ジブリ映画ではこれまで見なかったような表現が混ざってたので、単なる懐古趣味にならなかったのも良かった。

ダメだったとこ1 ストーリーテリングの放棄
大まかなストーリーはあるものの、宮崎駿が好きなシーンだけを作ってそれを無造作に繋げたような作品。ファンタジーであることを割り引いたとしても世界内設定が行き当たりばったりで、直前のシーンとは話が繋がっていても15分前とは話が繋がらないような展開の連続。その結果、観客は場面場面の賑やかしに付き合わされて飽きないけれども面白くもないという2時間を体験する感じ。まじめにストーリーを追おうとする人には向かない。

ダメだったとこ2 音楽および主題歌
久石譲が作ったという劇伴が、彼の作品集から適当につまんできた並みの印象の薄さで、わざわざ鳴っている必要がないシーンがほとんど。それに輪をかけて米津玄師の主題歌の印象が薄くて、見終わった瞬間に曲を忘れるレベル。
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