たか

君たちはどう生きるかのたかのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

事前情報全くなしの上で鑑賞。

感想としては、楽しく鑑賞できたし、
見終わった後にしっかり考えさせられる映画でした。

映画冒頭にある現実世界の色々な出来事から、
ウクライナのこともあったので、
戦争を題材にしたものなのかなと、
色々勘ぐりながら見ていましたが、
塔の中に入ってから印象がガラッと変わりました。

あくまでも個人的な感想ですが、
現実社会とネット社会を別の形で表現して、
そんな世の中をみんなはどう生きていくのか、
どう今を生きているのかを問いかけている作品なのかなと感じました。

↓以下色々ネタバレ含む↓

母親を亡くした眞人が、
まだ生きているかもしれないという望みを胸に、
塔に入っていく。
そこで出会ったのは迷い込んだ当時の幼い頃の姿をした母で、
周囲の人たちも昔の姿をしている。
= ネットで昔の情報がたくさん出てくる/調べらるように母の当時の姿を垣間見る。

塔の中にいるのは、
数多くの仮面を被った様に見えるインコと飛ぶことを奪われたペリカンたち。
特にインコは攻撃的で、人であろうとなかろうと食べようとしてくる。
※眞人も食べられそうに何回かなる
お腹に赤ちゃんがいる人は食べないという部分の真意は分からなかった。
=これは今問題になっているネット上で誹謗中傷を行っている見えない犯罪者と、ネットに浸かりすぎて夢を見ることを忘れた人たちの姿(ヤジは投げるが人は殺せない人)なのではないかと思う。
インコのリーダーはたまに出てくるネットの声を武器に煽る人物的なものかと。

大叔父様がその世界を管理しているが、
インコ達も増えすぎてしまい、
新たな世界を作り管理してほしいと眞人に頼むが、頭の傷が自分の「悪意」によるものだと説明し断られる。
=管理しきれず、その場凌ぎで繋いでいるネット社会。
そして自らを自傷し、誰かに報復するように仕向けた「悪意」を持った自分には、綺麗な世界を作れないと悟った眞人。

このシーンの前に大叔父様が眞人に、
「奪い殺し合う、醜い世界に戻るのか」
※ちょっと文言違うかも
というセリフがある。
自分が作った架空の理想郷で生きていけば、
何も苦しまないで生きていけるのに、何故だという問いかけがされているように感じた。
このセリフが作品の中で1番印象に残りました。

しかしその問いをしている大叔父様の目には、
眞人の様な光が全くない。
つまり生きている様で生きていない。
外部との関わりを断つということは、
そういうことなのだと表現していると感じた。

その後は塔が崩れ、
無事にみんな現実世界に戻ってくる。
そして何事もなかったかの様に歴史を辿り、
終戦する。
またここで印象的な青鷺のセリフがある。
「あっちの世界のことまだ覚えているのか。」
「まぁ大した力もない石だから、少し経ったら忘れちまうよ。じゃあな友達。」
=ネット上でどんな争い事や事件が起ころうとも、現実は容赦なく進んでいく。
また、何かあったとしても覚えている人はごく僅かで、その人もいつかは忘れてしまうこと。

見る人によっては苦しかったり、
背中を押される人もいる様な最後だったと感じた。
もしくは
「そんな世の中だが、貴方はどう生き抜くの?」
と宮崎駿監督に問われている様な気になる人もいると思う。

久しぶりに考えさせまくられる素敵な作品でした。
たか

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