君たちはどう生きるかのなべちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

後は任せた

物語終盤の崩れゆく世界を見ていると、今まで作り上げてきた宮崎ワールドを作者自ら壊しているように感じられ、涙が止まりませんでした。いったい宮崎駿監督はどれだけの人に影響を与え、新たな価値観を生み出したのでしょう。

平成を生きた私は子どもの頃、家の軒下にトトロを探し、大きな雲の中はにラピュタがあるのだと友だちと語り合い、きっといつかあんな冒険をするのだと夢見ていました。大人になり、その夢は宮崎駿監督から与えられたプレゼントだったことに気づきました。子どもたちに夢を与え地位も名誉も手に入れた宮崎駿氏が、それらを惜しげもなく捨て去り、新たな世代にこの世界を託しているように感じられました。

人間である私たちは死から逃れることはできず、上の世代から託されたバトンを若い世代へとただつなぐことしかできない。上の世代は、あれもこれもと伝えたいことがあるのかもしれません。しかし、タイトルからある種の厳しさを感じる今作は、どう生きるかいう問いを私の心に優しく置いていったように感じました。

物語全てが理解できたとは思いません。序盤は物語がどうすすむのかについて、中盤はどこをどう見たら良いのかということについて、頭をひねらせました。宮崎駿の最後のメッセージを逃すまいと考えましたが、多様な解釈ができるように作られていますね。