mura

君たちはどう生きるかのmuraのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.2
鷺が導き、石に霊力がやどる。鏑矢が飛び、剣が草を焼きはらう。神話のよう。

火災によって母を失った眞人。工場を経営する父はその後、母の妹と結ばれ、母とその妹の実家となる田舎の大きな屋敷に移り住む。敷地のはずれには塔のような洋館が建ち、ひとを寄せつけない。だが眞人はアオサギに導かれ、そのなかに入っていく…

これは何なのか…

宮崎駿も極まった感じ。そう、晩年の大林宣彦を思い出すなと。

生きてきたなかで哲学・思想が形成され、それを映画の制作にぶつけるといった感じか。

それを面白いと思うひともいれば面白くないと思うひともいるだろうけれど、貴いことは確かだと思っている。

その意味では、映画監督の生きざま、そして矜持を強く意識させられる映画だったなと。

自然、人間、そして平和…そのあり方を問う映画として、深く重いものを感じた。年齢を重ねた者だけが描ける世界かと。

そしてこういったオリジナリティにあふれた物語を思いつくその才能は、本当に素晴らしいと思う。
mura

mura