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殺人に関する短いフィルムのmareのレビュー・感想・評価

殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)
4.0
キェシロフスキのドラマシリーズ「デカローグ」の5話目にあたる「ある殺人に関する物語」を劇場公開用に再編集した作品。確かにデカローグの中では異質で強烈に印象を残した物語で、ざらついた質感と全編黄色いフィルターを通したような色彩は終末を予感させる。3人の人物が殺人事件によって不幸に巻き込まていくのだが、誰の立場になっても絶望に打ちひしがれる作風で、殺人事件一つで複数の人間の心を殺してしまう無情さを残酷に見せている。加害者は加害者となった瞬間に被害者となり、彼を救おうとする弁護士もまた彼を庇いきれない被害者となる。なかなかの鬱映画。
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