great兄やん

ザ・キラーのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.3
【一言で言うと】
「殺しの“戒律”」

[あらすじ]
とある仕事でアクシデントを起こしてしまい、大切な人が襲われてしまった殺し屋の男。自身の信条や規律の元で、彼は自分と対峙しながら各国で追跡を始める...。

デヴィット・フィンチャー監督最新作。何気にフィンチャー作品をスクリーンで観るのは初めてなのでなにかと新鮮味はあったが、結論から言うと個人的にはかなり満足度高めな作品だった。“最高傑作”という表現は過言かもしれないが、彼のフィルモグラフィの中でも特に上位に食い込む作品なのでは?と思っている。

これまでに『セブン』や『ファイト・クラブ』など彼の作品のほとんどを観てきた私めですが、やはりなんと言っても“画作り”のスタイリッシュさがバチクソキマってるからこそ観ていて格別な“トリップ”を味わえるワケだし、今作でもそのエッセンスが濃縮されたシーンやショットの連続でただただ最高としか言えなかったですね🤤...年月が経ってもクオリティが落ちないどころか、より映像における冷徹かつ神経質な質感に磨きがかかってるのが凄すぎる(゚o゚;;...

ストーリーとしてはかなりシンプルで、“仕事”でヘマをした殺し屋が自身に降りかかる代償を恐れて報復される前に“対処”をするという如何にも淡々としたプロットではあるが、そこにフィンチャー“らしさ”が加わるとこうもサイコパスな質感が出来上がるのか(゚o゚;;…という驚きすら感じたし、もはや起伏という“感情”すら失せた展開がより一層緊迫感を助長させていたようにも思える🤔

それにマイケル・ファスベンダーの冷酷で無感情な殺し屋というまさに『プロメテウス』のデヴィットよろしくアンドロイドのような“無機質さ”が抜群にマッチしていましたし、自身の行為に“規律”を輪廻させて己の不純な“感情”と対峙するという、個人的に求める殺し屋像としての魅力も上手く備わっているのが尚良い。
序盤で主人公がモノローグとして自身の哲学的観点を述べながら暗殺の機会を待つという、如何にもフィンチャーらしい几帳面さが析出された良さを感じましたし、そういったスタイルとファスベンダーとの相性はまさに最高と言っても良いほどでしたね...

とにかくソリッドな作風にフィンチャー作品ならではの冷酷な“闇”が潜んでいる、まさしく美しくも端的かつ重厚な“非現実”に思考が疼く至極の一本でした。

劇中で流れるthe smithsも良かったですし、全体的なスリラー要素としても計算され尽くしたショットの美しさと相乗して静謐な“恐怖”を味わえる上に、あまり彼の作品では珍しい激しめのアクションが繰り広げられるシーンはまさに必見。

とある失態を犯し冷静さを欠くもその“バグ”を淡々と修正するかのように仕事をこなす主人公の冷静ぶりにはある意味ビックリですし、多分だがデヴィッド・フィンチャーが『ジョン・ウィック』を撮ったらこんな感じになると思う笑。とりあえず全世界の殺し屋VSファスベンダーっていう設定で続編作ってくれませんかね😌...