great兄やん

ゴールド・ボーイのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
4.2
【一言で言うと】
「鈍色の”黄金”」

[あらすじ]
実業家の婿養子である東昇は、ある目的のため、義理の両親を崖の上から突き落として殺害する。それは完全犯罪のはずだったが、3人の少年少女がその現場を偶然にもカメラでとらえてしまう。それぞれ複雑な家庭環境や家族の問題を抱える少年たちは、東を脅迫して大金を手に入れようと画策するが...。

遅ればせながらもこちらを鑑賞。所々わざとらしい演技や粗っぽい演出に気を取られてしまったが、間違いなく秀作たらしめる面白さというのがハッキリと存在していた。余りにも残酷な一夏のジュブナイルであり、まさに”深淵”と”深淵”の血なまぐさいせめぎ合いに終始身を乗り出して観ていたほどですから笑

ストーリーとしては資産家夫婦殺人の瞬間を偶然カメラに収めた少年少女3人が遺産相続を狙う殺人鬼に強請りをかける…といった内容なのだが、とにかく人間が持つ悪意そのものにおける”底知れなさ”という恐怖が常にまとわりついており、観た人ならわかるかもしれないが、まさに東昇のような”分かりやすい”異常者ほど易しいものはないよな…って思いましたね(・_・;)

それになんと言っても主人公安室朝陽を演じた羽村仁成がマジで凄すぎる。というか恐ろしい笑。あまり言い過ぎるとネタバレになってしまうので詳細には語れないが、まさに度肝抜かれたと言っても過言ではないくらいの演技であり”怪演”だったし、久々にとんでもねぇ子役が出てきたぞ( •̀ㅁ•́;)…というこれからの邦画界を担うであろう期待の新星っぷりにワクワクしっぱなしでした笑笑

とにかく安室と東の両者譲らぬ腹の探り合いにハラハラしつつ、あらゆる予想が大きく覆される衝撃の後半に全身が硬直する、まさにとある”異常者”についてのゾクゾクする魅力に溢れた”クソ”素晴らしい一本でした。

元々は中国発の原作を見事に日本版として改変を行った脚本の素晴らしさもあったが、やはりキャスト陣の演技力がもう最高だったし、沖縄を舞台にしているのもあってか、まるで邦画のようで邦画でない異色の雰囲気が漂っていたのも魅力の一つだったかと思う🤔

個人的には今年観た邦画の中でもかなり満足度は高めでしたが、ゼロ年代の邦画を彷彿とする古臭さが若干鼻についたのが少し残念ではあった。まぁ気にしなければなんてことない問題ではあるんだけどね(^_^;)...

”沈黙は金、雄弁は銀”。見え透いた悪意は純粋な”狂気”には敵わないってことですよ😔...