great兄やん

DOGMAN ドッグマンのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
3.7
【一言で言うと】
「”忠誠”を司りし義賊」

[あらすじ]
ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性がおり、荷台には十数匹の犬が乗せられていた。「ドッグマン」と呼ばれるその男は、自らの半生について語り始める。犬小屋に入れられ、暴力を浴びて育った少年時代。犬たちの存在に救われながら成長していく中で恋を経験し、世間になじもうとするも、人に裏切られて深く傷ついていく。犬たちの愛に何度も助けられてきた彼は、生きていくために犬たちとともに犯罪に手を染めるが、「死刑執行人」と呼ばれるギャングに目をつけられてしまう...。

リュック・ベッソン監督最新作。新たなる”ヒロイン”は車椅子ドラァグクイーンという一線を画す設定を生み出した彼だが、やはり安定のリュック・ベッソンとも言うべきか、悲劇と狂気の狭間で生きる主人公の姿を活き活きと映し出していましたし、そこからケイレブ・ランドリー・ジョーンズの危なくも完璧な演技力がしっかりと呼応した、まさにリュック・ベッソン全盛期の”片鱗”をしっかりと覗かせた素晴らしさを感じましたね🤔…やっぱりリュック・ベッソンは『ヴァレリアン』のようなコッテコテのSFよりもこういうダークヒーローものの方が性に合ってると思うんですよね〜😌...ってなんか前にも同じような事言ってた気がします笑。

ストーリー設定はまず前提としてドッグマンことダグラスと精神科医エブリンの対話が軸となっており、そこから過去パートとして主題となるダグラスが如何にして”ドッグマン”となっていくのか…という形式で話が進んでいくのだが、とにかくダグラスの半生が想像以上に壮絶過ぎてただただ衝撃。暴力的な父親に犬の檻に閉じ込められ挙句の果てには散弾銃で殺されかけるという、まさに”なるべくしてなった”ような生い立ちに言葉を失いました😰…しかしある意味あのような”ハンデ”を背負ってても生きようと抗うのは、やはり犬の優しさがあってこそだったんでしょうね😌…

それにドラァグクイーンとなりショーで熱演するダグラスの姿もまさに胸熱そのものでしたし、何よりも過去の出来事が今に繋がっている描写がしっかり存在しているのがメチャクチャ良い。なんだか報われている感じがして清々しいですし、犬との友情も相まって純粋に応援できるキャラの良さを感じましたね…

とにかくダグラスから”ドッグマン”へと変貌を遂げる過程に壮絶な絶望を観客共々に突きつけられるが、犬とアクションの華麗なる連携プレイに展開の小気味良さなど、終始ファンタジーと陰鬱さのバランスが軽快に取れた一本でした。

正直アクションを期待していた身としては若干盛り上がりに欠けた印象を感じてしまったが、やはりなんと言っても多種多様な犬種を用いた演出の凄さに驚きでしたし、ドッグマンを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズは相変わらず演技がズバ抜けて巧すぎるからマジで観ていて鳥肌が立ってくる。ある意味メソッド演技の天才としか思えないくらい”憑依”しまくってましたね(・・;)...

とりあえず総合的に見てもリュック・ベッソンの”復帰作”と謳われる所以も十分に納得ができる良作でしたし、イッヌが悪党をメチャクチャに咬みまくるアクションが好きって人はかなりオススメ。(かなり限定的笑)”神”は沈黙すれど”犬”は弱者に忠誠を誓う。やはり花より団子のように、神よりイッヌってことっすよ😌…ねぇ???(押し付け)