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マエストロ:その音楽と愛とのandhyphenのレビュー・感想・評価

3.7
ブラッドリー・クーパーが自ら監督してレナード・バーンスタインを演じ、その妻をキャリー・マリガンが演じる、いわばバーンスタイン夫妻の人間関係映画である。
確かブラッドリー・クーパーの特殊メイクが批判された記憶があるが、個人的には本人に寄せたなあという印象である。ただそのあたりのことは恐らく機微な話題ではあるのだろうと思う。
この映画、観るまで気づいていなかったが妻フェリシア役のキャリー・マリガンがトップクレジットなので、フェリシアの物語、なのだと思う。キャリー・マリガンの演技は揺れ動く人間の姿を非常に繊細に見せていて素晴らしいのだが、そちらに振り切った結果バーンスタインの造形が若干薄いというか、何に対して葛藤しているのかが見えにくい。いやお前がバーンスタイン知らないだけだろ、歴史を知らないだけだろと言われたらそれまでではあるのだが、バーンスタインがはっきりしないとフェリシアの心の機微も伝わりにくいよなあ、というのは考え込んでしまった。
映画としての画、冒頭とラストのみ画面サイズが変化するところ、モノクロからカラーになるところ、モノクロ部分の現実と幻想の狭間のような描写、シーンの切り替え、カット割はとにかく見事で美しいと思った。できれば大きいスクリーンで観たほうが良い映画だと思う(しかしもう映画館での上映は終わってしまうのだが)。
ブラッドリー・クーパーめちゃくちゃ指揮練習したんだろうなあ…(指揮は本当に訓練しないとちゃんとした指揮に見えないので)。
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