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WILLのandhyphenのレビュー・感想・評価

WILL(2024年製作の映画)
3.8
そういえば「菊とギロチン」を初日に観に行ったとき東出昌大氏がテアトル新宿の前でチラシ配ってたな、などということを思いながら鑑賞。
実際に生き物を撃ち、その内臓を取り出し、肉を解体して食べる、そのさまはやはり「生」って感じがする。そして撃った鹿に対して(自分が狙って殺したのに)「かわいそう」と思ってしまうその矛盾。
そしてその主体が、叩かれ続けてもなお自分をうまく偽ってやり過ごせなかった東出昌大という。なんというか本当に…。
いや、わからない。ドキュメンタリーを観ても結局は被写体の本質など理解しきれるはずもない。まったく客観的に被写体を撮れる監督はいない(だからこそドキュメンタリーが成立する)。だから私が映画を通してみた人物がそのすべてなわけもなく、ただ、とにかく考えすぎる割に信じやすいタイプのひとなんだなとは思って観ていた。
人間はとてつもなく弱く賢い。矛盾だらけで、だからこそ考えることを止められないし、それが人間なんだろうなあ、というようなことを思ったりもした。
途中で東出昌大という人間とリンクするようにMOROHAの音楽が入ってくるところとか、映像の配置とか、カット割とか、ドキュメンタリーというジャンルを考えたときやけに美しかった。あんなにも生々しいのに画が美しいという。映像の多様性(?)を感じた。
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