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ジャンゴ 繋がれざる者のandhyphenのレビュー・感想・評価

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)
3.8
クエンティン・タランティーノによるリビジョニスト・ウエスタン。奴隷制度というものをこういうエンタテインメント振り切った西部劇で描いてしまうのはやっぱりタランティーノのセンスなんだろうなと思う。
レオナルド・ディカプリオが骨相学を語りながらあからさまな人種差別を語るシーン。奴隷制を嫌悪すると語るクリストフ・ヴァルツがある種異質に見えてしまう歪んだ世界。そしてそれは最終的に完膚なきまでに血と炎によってぶっ壊される。
そういう意味では極めて分かりやすく描かれた西部劇だと思う。序盤の出会いから成長、うまくいきかけたと思ったところの挫折と闘い、そして痛快な復讐。キャストの演技も秀逸である。レオナルド・ディカプリオは悪も似合うな…。
興味深いのは、ジャンゴを常に導く側だったシュルツの方が忍耐が切れるのが早かったということではある。色々な解釈があるんだろうけど、あそこまで思慮深い人間があの場面で「どうしても我慢できなくて」ってなるのがなんともいえない感情だった。そしてサミュエル・L・ジャクソンの立ち位置。あれは完全に虎の威を借る狐というべきなのか、あれはあれで彼の処世術(まあそれを通り越してる気もするけど)なんだろうなあと思うと悲しくなる。
あと、ブルームヒルダはブリュンヒルデから来ているというくだり、どっちかというと語られるより先の話がな…と思ってしまったり。考えすぎだろうか。だから最後爽快になるべき気分のところで複雑な気持ちになってしまう自分。
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