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哀れなるものたちのandhyphenのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
「聖なる鹿殺し」を観てからヨルゴス・ランティモス監督のファンである。不穏で、けれどどこか滑稽で。
「哀れなるものたち」はそれに加えて、歓びがある。エマ・ストーンのベラ、登場時は言葉もままならぬ「大人の赤ん坊」が冒険を経て、どんどんと自分と向き合い考察を深めていくさま。だいぶ過酷な冒険の旅ではあるが、若い女性を弄び、そして所有欲に駆られ破滅していくマーク・ラファロと対照的に彼女は大人になっていく。
見た目も行為も完全にマッドサイエンティストなウィレム・デフォーだが、彼は自分が「創造した」ひとびとを所有することがない。そこがやっぱり肝だというか。
冒険を経て、さまざま思考するベラの様子というのは、もちろんあそこまで冒険していないけど、幼い頃の自分の思考にも通じるような気がして。ベラの無邪気、好奇心、純粋さ、優しさ、そしてある種の残酷さ。感情と思考、正と負をごちゃ混ぜにして積み上げた「人間讃歌」感を感じた。
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