skm818

コット、はじまりの夏のskm818のレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
3.8
あんまり感じのよくない家のちょっとどんくさい感じの子が親戚の家に預けられてひと夏を過ごすという話。こういう設定の話につきものの甘酸っぱいエピソードなどは何もない。預けられた家は明らかに元の家よりグレード高くておじさんもおばさんも優しいいい人なんだけど、どことなく空虚さが漂う。その理由はだいたい予想はつくけど途中でわかる。あの知り合いのオバハン最悪やったな。モンゴメリの小説なんかにいそうなタイプ。近所のことを根掘り葉掘り探っては悪口を言いふらすのが趣味みたいな人なんだよな。アイリンはなんでまたこの人にコットを預けたの?と思ってしまうが、状況的に仕方がなかったのだろう。断ったら断ったで悪意のあること言いふらすよこの人。コットの元の家の嫌な感じの表現も秀逸で、わかりやすく暴力や暴言があるわけではない。でも家族同士でお互いを見る目や客を見る目が冷くてさ。あんな狭い台所なのにこどももいったい何人いるのか。姉たちはコットを馬鹿にするか無視しているし、母親以外はろくに客に挨拶もしないし、コットの脚は汚れていたし、サンダルはボロボロだし、なんとなく父親による家庭内性暴力が起きていたのじゃないかと匂わせる表現もある。その父親がまた礼儀知らずで、ただ根っからの悪人という感じはせず、なんだろうな…こういう人いるよなって感じ。
skm818

skm818