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コヴェナント/約束の救出のdeenityのレビュー・感想・評価

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
3.8
ジェイク・ギレンホール主演で監督ガイ・リッチーと来たら見るしかないでしょ、って思いで鑑賞してきました。
ガイ・リッチーといえば『スナッチ』とか『ロック、ストック&…』なんかの軽妙な感じをイメージしてましたが、がっつり戦争社会派映画って感じの作品でしたね。なのでらしさで言えば中盤辺りのテンポ感とかはらしかったですが、全体にそういう雰囲気を求めると違うかもしれませんね。

ただ、作品としては結構面白くて、ガイ・リッチーらしさはあまり感じませんが、全体的に上映時間が120分あってももっと見たいと思わせるほどの無駄のなさではありました。
ここからはネタバレ含みます。


アメリカがアフガニスタンに侵攻していて2018年。ジェイク演じるキンリーは現地通訳を雇い、タリバンの爆弾倉庫を探していた。そして雇われたのがアーメッドというクセのある男。少々曰くつきの男だったが、隊員として認め、ついに爆弾倉庫に辿り着く。
しかし、敵からの反撃に遭い、生き残ったのはキンリーとアーメッドのみ。そして2人で逃亡を図るも、キンリーは瀕死の重傷を負ってしまう。アーメッドはそんかキンリーを置いていこうとはせず、100キロ以上の道のりを運び続け、何とか無事に基地に帰還。キンリーは一命をとりとめる。
その後、帰国したキンリーが耳にしたのは、アーメッドが行方不明という知らせだった。

本作の感動ポイントとしてキンリーとアーメッドのバディ関係みたいなところがあると思うのですが、実際それは友情とは違うものであり、むしろ因縁と言った方が近いような関係性なんですよね。
アーメッドはそもそもの目的として家族と共に安住の地へ移るためのビザが目的なのであり、アフガンを裏切った側としては自分のためにも家族のためにも生きて帰るしか術はなかったわけで、キンリーを助けた過程によって友情のようなものが芽生えているように見えますが、ある種の呪いだとキンリーは捉えていましたね。
生きて帰ったキンリーはアーメッドのその後が行方不明だとわかり、救出に向かうわけですが、キンリーも約束を果たすという感動的には見えますが、宿命を背負ってしまい、つまりはどちらもしなくてはいけなくてしたという義理的な関係だったとわかるわけです。
そこがむしろ個人的には説得力があって、戦争という極限状態であるにも関わらず、なぜそこまで体を張ったのか、って理由がスッと入ってきましたね。

で、まあ実際結構楽しめたのですが、作りとして前半がしっかり描かれていただけに感情移入はできたのですが、後半はもう一つボリューム不足といいますか。割合としても後半パートの方が短かったですし、もっと見たいと先ほどは言いましたが、もう少し見せてほしかった、の方が適切かもしれません。

あとはクライマックスの銃撃戦があまりにもご都合主義的で。さすがにあれだけ包囲されてて無傷で、尚且つちょっと諦念出すにしてももっと中に入ってやれよ、ってのは気になっちゃいました。

何よりこれ、フィクションなんですよね。ノンフィクション感出してるのが気になってこの評価で。
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