FumiyaIwashina

夜明けのすべてのFumiyaIwashinaのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0
PMSが原因で新卒で入社した会社を2ヶ月でやめた藤沢。一流企業に勤めていたもののパニック障害を発症し、電車に乗れず、お店にも行けなくなってしまった山添。そんな二人がプラネタリウムを作る小さな会社で出会い、希望を見出して行くストーリー。
物語の序盤は見ていても辛くなるような二人の状況が描かれていて、そこから少しずつ、自分のことを理解し、相手のことも理解し、ゆったりとした日常の中で着実に明るく、前に進めるようになっていく展開が心地よい。
人生の教訓をプラネタリウムにたとえて、伝えようとする終盤の展開も秀逸だった。個人的には、仕事に真面目だった社長の弟が遺した「太陽は沈まない。動いているのは地球の方」という言葉が1番印象に残った。二人の抱える症状は完全に治すのは難しいかもしれないが、それを受け入れて、自分にできることから少しずつやっていけば、幸せは必ず身の回りにあるということを暗に伝えようとしているのかなと感じた。
ゆるっとした日常の中で心の機微を丁寧に描くという邦画らしい良さに、宇宙の壮大さと比喩的なメッセージが見事に組み合わさった作品。