FumiyaIwashina

ちょっと思い出しただけのFumiyaIwashinaのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
3.9
足の怪我により舞台から離れた照生と、タクシードライバーの葉という元恋人の二人。その二人の6年間を照生の誕生日である7月26日の一日で遡っていく。
それぞれの人生を別々に歩んでいる現在から、関係が壊れる場面、幸せの絶頂、初めての出会いまでをえがいている。等身大のリアルなカップルを描くというのは「花束みたいな恋をした」とも似ていたが、時間軸を逆にするという「メメント」のような手法を取ることで、独特な味わいのある作品に仕上がっていた。
映像センスが秀逸で、冒頭のタクシー車内から東京の街並みを映す映像から引き込まれ、ラストの室内から朝焼けを映すシーンまで終始引き込まれた。
脚本も秀逸で、過去に遡っていくことを生かしたいくつかの伏線も見応えがある。そして、何より自分が一番好きだったのは、日常のリアルな切り取り方で、自然な台詞回しや、くだらないくだりなど、めちゃくちゃリアルで、クスッとしてしまうシーンが多くあった。