FumiyaIwashina

ワイルドライフのFumiyaIwashinaのレビュー・感想・評価

ワイルドライフ(2018年製作の映画)
3.9
時代や場所という背景も相まって、素朴な映画。しかし、一つ一つのカットから感じられる映像センスは圧巻。これが、ポール・ダノの初監督作品というから驚き。
ジャケットからは職を失い、半ば投げやりに、山火事を収める仕事をしに家を出ていった父と、父が出ていってから情緒不安定になって、他の男に頼ろうとする母がメインに見える。しかし、実際には一人息子のジョーの視点からえがかれている。
両親がぼろぼろの状態の中、常に落ち着いていて、何とか2人の間を取り持とうとするジョーは素敵なキャラクターだった。彼の存在によって、観ている側もこのやるせない展開から近すぎず、遠すぎずという絶妙に悲しくなる距離に留められている。
ラストにジャケットの状況がわかる演出も秀逸。しかも、最後の最後ではなく、少し手前の2人の絶妙な表情を切り取っているのも好き。