真っ黒こげ太郎

SISU/シス 不死身の男の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
4.2
俺に死んでる暇はない!!!

そもそも本当に死ぬかどうか怪しい!!!w




第二次世界大戦末期、ナチス・ドイツによる焦土計画が行われていたフィンランド。
金塊を掘り当てた老人、アアタミ・コルピは馬に乗って金塊を運んでいる最中に悪のナチス軍団に出会う。

アアタミが持っていた金塊を奪おうとするナチス兵だが、アアタミは凄まじい戦闘力でナチス兵を返り討ちに!!!
実はアアタミはかつて家族を殺された報復としてたった一人で300人ものソビエト兵を抹殺した、特殊部隊出身の最強兵士だったのだ!!!

金塊目当てにナチス軍に狙われるアアタミ。
アアタミはツルハシ一本とサバイバル術、そしてフィンランド人の不屈の魂「SISU」を武器にナチス軍に戦いを挑む!!!!




不死身の老兵が金塊目当てに襲い来るナチス軍団に戦いを挑む、フィンランド産のコンバット・アクション映画。
監督のヤルマリ・ヘランダー氏は存じ上げなかったのですが、アクションアドベンチャーの隠れた良作「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」の人だったのね。

あの「ビッグゲーム」の監督がまさかのコマンド・アクション映画を手掛けた!!って事で地味に気になってたのですが、公開当時は近所で全く劇場公開してくれなかった!!!!
…冗談じゃないよ!今一番火薬系のアクション映画が欲しいのに!!!
最近は手の平CGビームぬるま湯アクションやコマンド部隊リストラ&火薬減少アクション、アクション少なめ謎解きメインとかそんな感じの映画ばっかやんか!!!
って、何億回これ言ってるんだよ俺、もう耳にタコができるわ。w

そんなこんなでヘソを曲げていじけまくりながら侘しく年を越すのかと思っていたが…

何と年の瀬になって、

まさかの近所で期間限定上映!!!!


うおおおおおおお!!!!!!!!

やったああああああああああああああ!!!!!!


って事で、この世から消えかかってる火薬系アクションの火を絶やさぬ為に、年の瀬に劇場に駆け込みました。


話は単純明快!!!分かりやすい!!!
「不死身&不屈の男が、不屈の魂でナチ軍団相手に大暴れ!」という潔い内容。

ドラマ方面に関しても余計なドラマを削り「不死身の漢VSナチ!」に特化しているという潔い作り。
ってかこの映画台詞までもかなり削っており、殆ど台詞に頼らずビジュアルでほぼ全てを伝えている。
何しろ主人公は無口を通り越して、ラストシーンまで台詞が一切ない!!!
(叫んだりダメージを受けて悶えたりはしてたけど)
悪役や囚われていた女性キャラには台詞こそあるものの、それらも必要最低限レベルで絞られてると思った。

アクションに関しては、銃撃や爆破がしっかり展開され、アイディア賞モノなアクションやぶっ飛んだ見せ場もあったりして実に良い。
地雷原でのドンパチや湖での頭脳プレイ、絞首刑からの脱出劇、そしてクライマックスの空中バトル等、見所が目白押し!!!
個人的にはラスボスのヒデェ末路(The Asylumの作品で似た様な死に方があった)と、墜落する飛行機からの生還方法が無茶苦茶すぎてお気に入り。

主演はお爺ちゃんですが、あんだけメチャクチャやっても死なない不死身っぷりや如何にもな「只者じゃない感」が出まくりながら寡黙でカッコよかったです。
あんだけズダボロになってとんでもない目に遭ってるにも拘らず、勇んで悪の軍人に挑む姿はアクション映画の主人公としてこの上なく正しい姿だ。w
(序盤の水浴びのシーンで逞しい肉体と尻を見せてたのもポイント高い。w)


そんなこんなでぶっ飛んだアクションが多めで、望んでたドンパチも盛り沢山、主人公の不死身っぷりやカッコ良さも堪能できました。

気になる所としては、91分という短い尺ながら、意外にもテンポはゆったり目に感じた事。
これは俺が他のフィンランド映画を見た時に感じた事なんですが、雄大な自然や人間模様を静かに丁寧に書いてるかか、何処かゆったりした感じがするんですよね。
(あくまで俺の主観ですが)
最近の大作映画みたいにハイテンポな物語を期待すると、少しかったるく感じるかもしれません。
(だからこそ90分台の尺にしたのかもしれないけど)


何はともあれ、火薬のドンパチにアイディアと奇想天外を織り交ぜたアクション、そしてカッコイイ無敵爺ちゃんの大暴れ等、自分がアクション映画に求める物を摂取出来て、今年の最後の最後でようやっとちゃんとしたアクション映画体験を得られました。

北欧系映画にありがちな(独断と偏見)のんびりしたムードには好き嫌いがあると思いますが、強い主人公がドンパチするアクション映画が見たい人は是非とも見てくれ!!!