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マン・オン・ワイヤーのTSのレビュー・感想・評価

マン・オン・ワイヤー(2008年製作の映画)
3.4
【奇跡の犯罪】74点
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監督:ジェームズ・マーシュ
製作国:イギリス
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:95分
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 7年半前に劇場で見た『ザ・ウォーク』は紛れもない傑作だったのですが、今作はその元ネタとなったある綱渡り師の成功体験をおさめたドキュメンタリーです。その名はフィリップ・プティといいまして、ジャケットからも推測できるように、なんとあの世界貿易センタービルの間をワイヤー1本で綱渡りしてしまったという人物です。映画の方が十分迫力があるので、今作はやはり見劣りしてしまうのですが、それでもこんなクレイジーなことを考える男の考え、行動を丁寧に映していますので一見の価値はあると言えましょう。

 最初にいうと、これは犯罪となります。もちろん正式に世界貿易センタービルにオファーをしても危なすぎるから即NGの回答を得るでしょう。そんなことわかりきっているから、なんと彼とその協力者はなんとかして無断でこの奇跡のアクションを成功させようとします。まあ確かに成功さえして捕まっても、誰も人を殺めているような事件ではないですから、犯罪は犯罪でもまだマシな部類。犯罪者となってしまいますが、映画化されているように、一部の世界ではレジェンドとなるのですが、人の分け方なんて紙一重です。それにしても、こんなことに挑戦しようとする人の気がしれない。高所恐怖症の人は注意が必要です。

 1974年に行われたものなので、残念ながら高解像度の動画はあまり残っておらず、ジャケットのような写真が残るのみ。今ならばYouTuberなどがGoProなどを装着して臨場感満載の映像が撮れますが、当時だと、それを外から撮影するだけでも難しかったのでしょう。ともあれ、世界貿易センタービルの高さは400mを超えましたので、とんでもないことをしていることに変わりはありません。奇しくも世界貿易センタービルはこの出来事から一躍有名になったようです。ここにて世界貿易センタービルが誕生し、不運にも同時多発テロで崩壊してしまうのです。フィリップ自身がもちろん主人公なのですが、世界貿易センタービルも隠れた主人公なのです。

 実写化の映像と見比べたらより理解が深まると思います。解説が多いので、逆に実写のメイキングのような立ち位置になってしまっていますが、興味のある方はぜひ。
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