アキ

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのアキのレビュー・感想・評価

3.0
この新進気鋭の監督さんがやりたかったことはラストのラストのアレであるのだろうけど、ソレを見た瞬間、背景に監督のドヤ顔が透けてみえてオエッっ(※1)てなった。
配給どころのA24が権利を取得したのは、ある意味ではオリジナリティはある(かもしれない)件の閉じ方をかってのことなんでしょう。
しかし、俯瞰してみれば題材は古く、ましてやエクソシストのリメイク?さえ上映している怨霊インフレ期にあって、たいして跳ねたストーリーもなく、霊の人間性は珍味だったが、ただそれだけ、逐一怖がらそうとする姿勢がうすら寒く、音もうるさく、キャラも塩で、いったいにラスト数秒を除いての本作の武器がよく分からない。

宣伝広告とスタディオA24というインパクトで封切日に観に行ったクチだが、理想と現実の落差ではタイトルと気配(タイ東北部の寒村)が秀逸だった「女神の継承」に匹敵する。つまりは鑑賞したらばとりわけ中盤以降が中学2年程度のお遊戯だった現実と似通った乖離体験。

A24配給でいえば「ミッドサマー」「ヘレディタリー」が僕のゼロ年代トップ1,2を位置取っている。客観的な功績としても「エブリシング・エブリウェア」のアカデミー賞獲得の実績もある、また次々と秀作の配給権利をゲットしてきた鑑賞眼を加味しても、言わずもがなで新作は期待を超えた神を求めるは必然でしょう。しかしその必然に耐えうる重責をこの本作がになったかと言えば、その準備段階にすら全然達していなかった、というのが率直なところだ。(興行収益はよいらしいけど)

勘違いしてほしくないのは決して悪くはない、創りは丁寧で、遊びもあるし、チャレンジする姿勢も所々に垣間見える、ラストのアレも監督のドヤ顔さえ垣間見えなければ(つまりうまく流す感じで、スーーーって感じで。熱はそれほど込めず、しかし微熱は込めながらつーーー、とーんってな控えめなニュアンス。ハネケの愛、アムールのようなと~っんではなくとーんってな控えめな跳躍感)随分キマッテル。とは思うんだよ。
だが、やはりというべきか、A24の文字列の責にはしたくないのだけれど飛ぶ鳥落とす勢いのスタジオ配給というインパクトに勝るデキやエキスを今作のレベル感から感じれなかったのは残念だった。

どうやらこれがデビュー作?となるらしい監督さん。残念ながら今作においてはその未熟さがネガティブな方向で作用してしまったが次回作は期待してる。

※1→おっさんのギャグ。己は過大評価な割に、周囲の評価はその真逆なニュアンス。つまり、僕。
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