アキ

スノータウンのアキのレビュー・感想・評価

スノータウン(2011年製作の映画)
4.4
傑作です。ごく普通の青年がサイコパスに出会ってしまったが結果、取り込まれ、道を踏み外していく様が、生っぽくじっくり描かれていく。終始ゆらりとした感じの展開ななか、1時間過ぎあたりでドギツイのが一発ドスン。以降、シリアルキラーに支配された青年は一味とともにゆっくりと餓鬼道へと沈んでいくのだった。

ちなみに該作実話である。並びに2011年カンヌの批評家週間で審査員特別賞を受賞した作品でもある。監督は「ニトラム」でもオーストラリアで起きたシリアルキラーによる連続殺人を表現したジャスティンカーゼル。手際の良さは一級品、表現のタイミングもツボを刺激してくれる。まさに魅せてくれる監督さんで、オージー作品ともども以降も要チェキであることはここに周知しておく。

時に、結句、こういう作品を見ていると、世にはびこる差別主義者は、社会的な正義を掲げる反面、その実、己の歪んだ欲求を満たしたいだけの空疎なハリボテであることが分かる。何らの哲学思考も持ち合わせず、行き当たりばったりで、薄闇の中、幾つになっても”己”を探求し続ける永遠の思春期。言い換えれば極めて厄介な中2の病そのものが劇中の〇〇なのであった。

鬼畜な作品だが、実話だけに刮目して鑑賞してほしい。
現実世界、どこに誰がどのような悪癖を有して暮らしているかわかったもんじゃない。生きていくうえで決して全てが対岸の火事ではないということを該作を鑑賞して実感した。
あなたのすぐ側にもホラ…
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