アキ

悪魔の世代のアキのレビュー・感想・評価

悪魔の世代(2021年製作の映画)
4.9
随分過疎ってるけど、相当キレのある作品だよ。
ある場合にはセブンに匹敵するんじゃないかと思えるほどにはその緻密なストーリーにくぎ付けとなった。
誰が犯人か?に加えてどうして犯人は?というリードが現在と過去を行き来することで徐々に露わとなる過程が心地よき。その過程に付随するグロ、伏線、装置も有機的に絡み合い、ラストの〇で全てが灰塵と帰す。

リトアニア産の映画はお初かもしれない。いささか舐めてた節はあるが、セルビアンフィルムの例もあるから、期待と多少の警戒とでもって鑑賞を始めた結果、完全に時間が飛んだわけだ。マジで欠点がないんだよね、犯人がまぁそこしかないだろうなという人物に落ち着くも、”出し方”が巧いから気にならないし、セブンを彷彿とさせるコードネームの扱い方もいいよね、

総じて仕掛けがエレガントで、初手の首つりと密接に〇がリンクする距離感、〇の描写がラストのアレにリンクする脚本上の開閉、露わとなる骨子に段階をおって肉付きがよくなっていく感じ。全体を通してとてもフェアな見せ方だし、何気ない一言で転じてみせるさりげなさも巧みの一言だ。発端となる事案は彼らにとってはやむないとはいえ、〇にとってはまことに愛すべき存在だったんだよ。

唯一欠点を上げるとすれば、タイトルが絶望的に駄目。このやっすいタイトルでどれだけの映画好きがこの作品を回避しちゃってることだろう。もったいないので観てください。
アキ

アキ