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ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語のRenのレビュー・感想・評価

2.5
一度ハマったら好きであり続け、一度気持ちが離れたらもうハマることは無い。ここまで露骨な作家はなかなか居ない。『フレンチ・ディスパッチ ~』以降完全に食傷気味だったが、このように短〜中編で古今東西様々な個性派作家をウェス色に染めるプロジェクト、かなり良いのでは?

『アステロイド・シティ』でも顕著だった入れ子構造、今作もレイヤーが最大で四層にまで及ぶ。40分以下の短編にしてはやり過ぎ。だが、舞台演劇のように入れ替わる美術、カメラ目線での独白主体のストーリーテリングは、小説乃至は口伝物語の概念をそのまま映像に落とし込むような効果がある。

『フレンチ・ディスパッチ ~』の時は、雑誌を映像化したからってだからなんやねんつまらんもんはつまらんと思ってしまったが(今思えば面白い試みだし、自分の中でも遡及的に評価が上がってきている気がするので再見するかもしれない)、要は100分の長編だと視覚的に疲れるし飽きてくるけど、短編ならそうなる前に逃げ切れる。

台詞量が非常に多いので、英語圏以外の鑑賞者には若干不利か。字幕無しでも聞き取れるなら、台詞がだーっと流れている間に画面の隅々まで目を凝らしてもっと楽しめるはず。吹替にしてしまうとウェス組豪華俳優陣の生声が聞けないため、鑑賞方法は一考の余地ありか。
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