唯

抱擁のかけらの唯のレビュー・感想・評価

抱擁のかけら(2009年製作の映画)
3.3
エルネストがマジでクソジジイ!!!
老齢のくせに何故か自信があって、レナにどこまでも執着する異常っぷり。
レナは女優とだけあって、吐きながらでもエルネストとセックスしているのに(どれだけの嫌悪を抱えていても彼の前では笑顔に切り替える強さと凛々しさ!)、どうして彼女の気持ちがわからないのか。
自分には金以外の価値がないと、どうしてわからないのか。

社会的地位がある人間による逆恨みは恐ろしい。
金を使って相手を簡単に墜落させることが出来ると知っているし、権力の持つ力は底知れない。
社会的には立派なのかもしれないが、精神面ではあまりに未熟。
人の人生をなんだと思っているのか。
客観視する視点がないのだろうね。
側から見れば、あまりに虚しくで愚かで哀れな老害なのに。

人を狂わせるのは嫉妬である。

長年を経てからの罪の告白・真実の吐露に、遅いよ!と声を上げたくなるが、これが然るべきタイミングだったのだと捉えるしかないのだろうな。
過去の記憶と向き合うことは、自分を癒すことにもなる。
放置されたフィルムは、編集して初めて意味を持つ。
マテオと彼に寄り添う人々が、未完の作品を完成させるまでを描いた作品だった(親の若かりし頃を子供が辿る旅路でもある)。

赤と黒、赤と緑、白と青など、ビビッドな色が多めで、そのコントラストが常に光っていた。
唯