LalaーMukuーMerry

チルソクの夏のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

チルソクの夏(2003年製作の映画)
4.4
昔見て(少なくとも10年以上前)印象に残っている私の中の名作をもう一度シリーズ その4
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何も知らずに何気なく借りたら、思いがけずとても良い話だったので心に残っている一本。世代的に私とほぼ被る時代の青春ラブストーリー。下関の女子高生と韓国プサンの男子高生、陸上部の彼らが両都市の親善陸上大会で知り合って恋に落ち、1年後の大会での再会を約束して文通を始める・・・。アン君の片言の日本語や、彼女の仲良し4人組の下関方言がかわいくて結構笑えるエピソードも多いのだけれど、二人の恋には見ているこっちがキュンとなる切ない切ない物語。ラストもジーンときてとても良い。
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私らの頃の恋はこうだったな。携帯も電子メールもなかったから、募る思いに耐えるしかなかった。二人は日韓の壁も邪魔してるからなおさら切ない。
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この作品の頃(1977~1978)は日韓の負の歴史が両国社会にまだまだ影を落としていた時代。韓国ではパク・クネ大統領の父親(朴正熙)が大統領で、戒厳令をしいて日本の歌も映画も禁止とされていた。日本でも在日朝鮮人に対する差別意識がまだまだ普通に残っていた。
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今見返すと、結構有名人が出ていたので驚く。上野樹里(この作品でデビュー)、山本譲二、夏木マリ、イルカ、マラソンの谷川真理。担任教師として特別出演したイルカの「なごり雪」が主題歌で、エンディングでは韓国語でも歌われます。この歌いいですね。 
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だが、ストーリーの中で「幸福の黄色いハンカチ」を映画館で見て泣くシーンが出てきてビックリ (こんなシーンあったっけ? 完全に忘れてた)。ひょっとしてこの作品があの名作のネタバレ映像解禁のきっかけになったのではなかろうか?と、私の中で「チルソクの夏」犯人説が急浮上。これは思わぬ展開だ・・・