華麗なる加齢臭

PERFECT DAYSの華麗なる加齢臭のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
5.0
【2023年の東京物語】
年明け早々に見てきたが、2024年のベストムービーに決定!。残り11か月でこれを超える作品には出会えないだろう。
しかし私は平山について語ることは出来ない。彼への思いを綺麗にまとめれないし、またたとえ出来たとしても表現する術がない。彼については沈黙するしかない。

ということで平山以外について、どうでもいい感想を少し。
監督のヴィム・ヴェンダースは、東京物語が代表作の一つである小津安二郎を本当に尊敬、いや敬愛していることが伝わってくる。

そして、もっとどうでもよい個人的感想。
この映画で描かれる「東京」そのアイコンが二つある。一つはスカイツリー、これは墨田区や台東区などのいわゆる下町の象徴だ。そして公共トイレの改装プロジェクト「THE TOKYO TOILET」で設置された近未来的なトイレ群。

先日、錦糸町北口からタワービュー通りを歩いた。再開発された錦糸町は学生時代に知っていた場所とは別世界だった。これが今の「東京」なのだ。

今の地方自治体や民間企業は東京の一人勝ちだ。その金の力でアートな公衆便所を作り、世界一のタワーを作る。そして平山のおじさんが寡黙に便所掃除をするのだ。キレイな東京を舞台に、そのキレイの仕組みを描いている。これが2023年の「東京物語」だ。

故に、大好きな大阪を舞台この作品を作るとしても、スカイツリーの代わりに通天閣と新世界が撮影地となり、てんしばの公衆トイレを清掃する平山は、どう考えても寡黙な男ではなく、ホルモンが大好きな陽気なおっちゃんになる。東京以外の舞台は考えられない。