華麗なる加齢臭

リスペクトの華麗なる加齢臭のレビュー・感想・評価

リスペクト(2021年製作の映画)
5.0
【ジェニファ・ハドソンの歌声に泣いた】
昔、友人から五嶋みどりのバイオリンを聴いて、心が震え泣いた話を聞いた。
正直、どんな感情かは想像できなかった。

そんな私は、この作品でジェニファ・ハドソンの歌声に泣いた。比喩でも何でもなく、本当に涙があふれた。
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アレサに対しては、かなり強い思い入れがある。
アレサは70年代後半からリアルタイムで聴いている。もちろん遡って過去の名盤も聞きまくったが、80年代に発表されたアルバムも評論家が何と言おうと、私にとっての愛聴盤だ。1987年の自分の結婚式披露宴BGMにも、その年に発表されたアレサ15年ぶりのゴスペルアルバム「One Lord, One Faith, One Baptism」から数曲選択した。

再度言う。アレサへの思いは強い。

さて、ボヘミアン・ラプソディやレイに代表されるような、広義のポピュラーミュージックスターの伝記映画はつまらない。どの作品も、主人公は苦労し成功するが、やがた困難が生じ最後はそれが解決されるというワンパターンだからだ。

ゆえに、アレサへの強い想いもがあり、この作品も鑑賞前から酷評するのではと予想していた。

ジェリー・ウェクスラーやマッスル・ショールズのフェイム・スタジオの風景、アレサのアルバムジャケットの衣装着ていたりとマニアであれば思わずニヤニヤしてしまう場面も多々あった。しかし映画そのものはワンパターンから抜け出せていないし、アレサの偉業を知る者としてはエンディングもなんとなく読めてしまった。

しかし、そんなひねくれものの私でも、ジェニファ・ハドソンの歌声を聴き自然に涙が流れてきた。映画を観て泣くなんて何年ぶりなんだろう。
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映画ファンであればジェニファ・ハドソンはドリームガール(2006年)のホワイト役で銀幕デビューしたことはご存じだと思うが、ドリームガールはもともとブロードウェイミュージカルでホワイトはジェニファー・ホリディが演じた。
1980年代にミュージカルを観、リアルはジェニファー・ホリディの歌声に圧倒さえたので、スクリーンでホワイト役だったジェニファ・ハドソンは正直物足りなかった。

あれから15年経過した。2014年にリリースされたアルバムJHUDはヒット曲ないものの私の愛聴盤になったし 2015年の TV シリーズ、Empireにホワイト役でスポット的に出演した際には、その役作りに脱帽した。あまりも印象的だったので最初、ドリームガールのホワイトを演じたジェニファ・ハドソンとは同一とは思えなかったほどだ。

そして今回のアレサ役。芝居云々ではなく、あのアレサの歌い方を見事にとらえ、そして自分の声で歌うジェニファ・ハドソンに私は感涙した。