ヴィム・ヴェンダース監督が撮る邦画。
東京画を入れると2本目なんだろうか。
監督自身、小津安二郎好きなのがすぐにわかるのが嬉しい。撮り方わかってる〜(偉そう)と感じられるカットの多さ、やっぱりこういう映画はローアングルが合う(ただ自分が好きなだけ)。
東京でトイレの清掃員をする男の数日...
第一印象は雨ニモマケズみたいな映画だな、でした。あと、自分中の資料集にある公衆トイレが一個も出てこない。
もちろん、敢えてこのタイトルをつけたのだと思うのだけど、確実にその前には所有格が入ると思う。あくまで一つのパーフェクトデイズ。
同じような日々であっても毎日は違うし、それをどう良しとして、どう楽しむのかは個人の自由だし。もっと言うと、楽しまないのも個人の自由。
ただ、本当にそうんなふうになりたいとかそんなことは置いておいて、自分を含めた多くの人(希望込み)が彼の日常を美しいと思ったんじゃないかと感じさせてくれたことが単純に嬉しい。
冒頭のシーンはめちゃくちゃ良くて、そのあと、これは個人的な好みの問題だけれど、途中はちょっと出来過ぎていていて、正直萎えたところはある。ただ、無口な彼から溢れ出る最後のやりとりが良すぎて盛り返す。それがある種の軸であるんだろうという感覚と、そう信じているからこそ、そんな生き方が出来るんだという納得感。だからこそ、その生活を覗き見するのがこんなに気持ち良いのだと気づかせる説得力。正直、展開と絵面は面白すぎて、ずっと笑ってしまいましたが、だからこそ良い。構成上、このセリフが先だったのか、撮りたい映像が先だったのかは少し気になるところ。
普段の生活やトイレ含めて、象徴的に古いものと新しいものを扱っていたけど、視点としてどちらを良い/悪いとして扱っていない感じがするのも好き。
良いか悪いかじゃなくて、好きか嫌いかの話。ここを取り違えると話がややこしくなることは結構多いと個人的には思っている。
セリフが少ない中で、完璧な眼差しと表情を提供してくれる役所広司の凄さには随時圧倒される。素晴らしいですね。カンヌでの主演男優賞受賞おめでとうございます。つられて、すばらしき世界かユリイカをもう一回観たくなってます。
あと、自分みたいな収集癖のある人間にカセットテープで曲聴きたくさせるのやめてほしい。流石に我慢できると思うけど...
車のナンバー: 86-97
同じ数字はなくて、上がって下がる。物語の進行と同じく、結局そんなもんなんだろうな〜と思っている一方で、そうであってくれと願う気持ち。そして、法則的に次にきそうなのは10段階中の10。何より、全部5以上なのがなんか嬉しい。
とにかく、鑑賞前より観賞後の方が優しい気持ちになれる映画だと思う。とても良かった。
