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PERFECT DAYSのmasamiのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5
尊ムービーだわ。丁寧に暮らすって、毎日いい事ばっかりじゃなくても、平山みたいに世界のいい景色を切り取ってそこに幸福感を覚えながら生きて行く事なのかも。
ヴィム・ヴェンダース監督が、確か「ヨーロッパではトイレ清掃員は社会的に地位が低いから、それを払拭したかった」みたいな話をしてて、確かに日本でもトイレ清掃員ってあんまり豊かなイメージないなぁと思った。でも、どんな仕事にも言える事だけど、軽視していい仕事なんてないし、どの仕事も無いと困るものだと思う。改めて、社会を回す皆さんに感謝しなきゃなぁ。

この映画は全体的に余白が多くて、観る人が色んな私情を馳せたり、平山や他の登場人物の背景を好きなように想像できる作品だなぁと思った。
私の勝手な妄想では、平山の実家は割と裕福な方だけど、父親との確執から家を出て敢えて父親が嫌がるような仕事を始めた。生活をしていくうちに、仕事へのやり甲斐や質素な暮らしへの充実感が芽生え始めた。みたいなバックグラウンドだと思ってる。
私も平山みたいに、日常の"いい"切り取り方を身に付けたいなぁ。

てかね、この映画数秒しか出て来ないすげーちょい役でも俳優が豪華なの!どんだけ予算余ってたんだっていう!!
ドイツ人監督の作品なのに、見終わった後に「いい邦画だった〜」って言っちゃうくらい超日本だったな。こういう、主人公に特別な力もトリッキーな設定もない、普通のその辺の人の話を切り取った映画が大好きだ。ドラマの無さそうなその辺の人にこそ、他人の心を揺るがすドラマがあると思う。

取り急ぎ、『11の物語』を読みたいです!
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