柏エシディシ

PERFECT DAYSの柏エシディシのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.0
異邦人ヴェンダースの憧憬というフィルターを通して見る"美しい国、日本"を、正直、私の様な人間は意地悪く思ってしまうが、思っていたより良かった。
今時分に"清貧"を謳う様な映画に、どうにも胡散臭いものを感じつつ、前売りを買いながらも気乗りせずこのタイミングでの鑑賞になってしまった。
日々淡々と仕事をこなし、好きな音楽や趣味にささやかな楽しみを見出し、いい歳して独り身暮らしで、行きつけの酒屋で気を紛らわす生活。
まぁ、何とも個人的には思い当たる様相でそこには共感しかないw
年頃の女性が転がり込んでくる様な事はありませんがねー。
「こんなふうに生きていけたなら」とは本作に付けられた惹句だけれど、ルー・リードのPerfect Daysはアイロニーが込められた詩だと思うし、最後の平山さんの表情に単なる幸福を読み取れるほど単純じゃあ無い。
平山さんも私も、この生き方を選んだ訳じゃなくて、こういう風にしか生きられないんだよ、という事。
それが幸せかどうかだなんて、そんなものは分からないし、何だか決めつけられたくないし、やたらと有り難がるものじゃあないよね。
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