このレビューはネタバレを含みます
ワイドショーネタのようなメアリー・ケイ・ルトーノー事件を、見せかけのメロドラマっぽく「正確」に撮るトッド・ヘインズ。どれだけハリウッドで大作を手掛けても根はアナーキーなサブカル。
おさまりが悪く、あえて物語も宙吊りにしていて、お前らにはこいつら(社会からはみ出てしまった人たち)の孤独や抱えた問題など分からねえだろと突き放すヘインズ。下世話な好奇心から描かれる三流ゴシップの裏側(撮影現場)を映し、リアルは虚構へと安上がりに消費されていき、「作り物」であり偽物に踊らされている大衆への皮肉で終わる。言ってみれば、ポピュリズムへの反骨心は常にある(食えない)作家。
映画はジュリアン・ムーアと四本目か、不安定なキャラクターは本当に上手い。神経症っぽいヘインズが好んて使うのも分かる。そしてこのコンビの最高傑作『SAFE』のソフト化、そろそろ誰かなんとかしてくれ!気がつけば30年待ってるよ!!