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ポトフ 美食家と料理人のzogliのレビュー・感想・評価

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)
2.7
耳が楽しくて目に美味しい作品だった

野菜を刈り取る音、食材を捌き、刻み、炒める音、熱に踊る水や跳ねる油の音、窓の外で鳴く鳥や猫の声、虫の羽音、教会の鐘……なんだかものすごーく癒されたー
もちろんあのヴォルオーヴァンのパイ生地のサクサク音とかもたまらない!

役のために身体を増量したらしい(でも流石にあのお腹は何か巻いてたのよね?)ブノワマジメルが黙々とお料理するの観てるのもとても楽しかった
ひと匙の料理を口にして饒舌に語るドダンなのに言葉少なくウージェニーの手を取るシーンとかとても好き

擬似父娘かつ師弟物語みたいになってた後半も大変に好みだし希望のある終わり方だった
舌を育てるためにワインを、でも少しだけ、ってあの可愛らしい気遣いもクスッとしたし、2人で玉ねぎ刻んで泣いてるシーンもとても好き
ウージェニーの事で涙するシーンを入れなかった代わりにああいう捻った形で涙のシーン入れてくる監督ったらチャーミング

妻という付属物でなく美食家を理解し共に腕を振るう料理人として敬意がはらわれる対等な立場でいたかったのかなと思うとウージェニーの気持ちわかる

あまり多くを説明せず場面と時間が移行していく仏作品らしい仕上がりなのだけど、あからさまなベッドシーンは入れないトランアンユンの匙加減もとても良かった
これをアジアならではの奥ゆかしさと賞賛してもいいのかな、どうなのかな
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