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哀れなるものたちのzogliのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.1
ゲロと不協和音とセックスと、でいかにもランティモスであった…疲れた

でもエキセントリックでグロテスクなのは相変わらずだけど、今回ばかりは言いたい事ちょっとわかったぞランティモス!
好きな作品ではないがおもしろいと思う部分はたくさんあったぞランティモス!

わかりやすくするために女の自由意志を性的快楽に置き換えて語るおとなのジブリ

冒頭からのわざとらしいほどのデフォーの話し方でこれイギリスの話なのかぁと思ったけど仮想ロンドンだったしスチームパンク+アールヌーヴォー風味の独特の世界観で他都市もなかなか楽しかった
蒸気機関馬車すき
ファド聴きにもっかいポルトガル行きたくなったなー
ただアレクサンドリアは数秒しか映らなくて全貌を把握できなかった

女が下着で歩き回ってても誰も触ってこないし乱暴されたりもしない、ジャパンよりもはるかに安全じゃん
エマストーン、ほとんどがボトムはパンツ1枚な分、トップスのデコラティブさが際立っててお衣装も楽しかった
でも再視聴するにはBGMの不協和音とベッドシーンが好きじゃないからどうしようかな、配信で作品を倍速視聴するニンゲンの気持ちが初めてわかったかもしれない


人間は成長過程のどの時期にどんな人たちと付き合うかでその後の人生の分岐が変わっていくのだなとなんだかしみじみ思った

露骨なだけでエロティックとも呼べず美しくもなければ羨ましくもないし高まらないセックスシーンはさすがのランティモスとしか言いようがなかったし妊娠と病気がひたすら心配になったので個人的にもっと削ってくれてもよかったけども、挿入すれば女は悦ぶとかいうバカな幻想を何度も打ち破ってくれてると思えばまぁアリかも
1番気持ちよさそうなのあの社会主義者の同僚とのあれだしね
あと愛が無くてもセックスは出来るから、ヤったからといって相手はお前の所有物にはならないんだぞってのも

女の性的快楽は男がいなくても陰茎を挿入しなくてもセルフでも得られるのと同じように、女のやりたい事、達成したい事、極めたい事は別に男などいなくても手にする事が出来るのだよ

将軍パートは男が振りかざす権力にみんなどれだけイヤイヤ応えて働いているかを物理🔫で可視化している面白い試みで原作がどう書かれているものなのか気になった
あんなわかりやすい比喩もわからない層には響かないのかもしれないが

船上で本を捨てられるあれめちゃくちゃ腹が立ったんだけど、ある特定の分野に詳しくなって誰よりも知識やスキルが上回って社会が広がるとそれを妨害してくるのがいつも男なの、なんらかのジャンルを極めたエキスパートな女は人生何度も経験してると思うので共感すると思う
ただあの直後あたりのマーサを○しちゃいなよ!的なあれとかは全然理解出来なかったから観てて混乱したけども

女がいなくなるとすぐ代りの女を手元におきたがる男たちしんどい、と思ったけど胎児からの脳移植が出来るのが女だけだから仕方が無かったという事なのか
しかしよく死にたてぴちぴち妊婦遺体またみつかったな…ベラと違ってフェリシティは週数が浅かったのかな

最後の終わり方もジブリっぽくてよかった
主人公の女子は道中で良き理解者の男の協力は得るが、別に嫁にも行かないし子供も産まないし自分の道を自分で選択し、自分で切り拓いて自分なりの幸せを生きていくのだ
でもあのヤギボディはどこへどうしたのか
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