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ナショナル・シアター・ライブ 2024 「ディア・イングランド」のzogliのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

サウスゲイトがイングランド代表監督に就任していかに代表チームを改革し導いたか、を描く現在進行形の物語

ジョセフファインズのなりきりサウスゲイトを観に行こう、現実の話を舞台作品にしちゃうとか信じられないんだけどでも完結してない漫画を原作にアニメを作るとかといい勝負なのかな?
なんて心配もありつつ出かけて行ったけれど、そこはさすが演劇が芸術の国だったし満喫して帰ってきた

なおこの演劇に関してプロモーションで『有害な男性性が〜』って言ってるアレは
「抱えているプレッシャーや恐れや不安を誰かに話して解決するだなんて(女々しい)!」とか、「男子チームに女のスタッフなんて!」みたいなとこだけであって そんなに深く掘り下げて語られてはいないし
別に男性陣が観ていて責められるような気分になるような事は無いので安心していただきたい

フットボール知らなくても困る事なく楽しめると思うし、
イングランド/英国のここ8年くらいの情勢の知識がなんとなくある人とかは全体の解像度が上がると思うし、
代表に限らずイングランド(プレミアとかの)フットボール事情のあれこれ齧ってる人にはああーそれね、みたいなのが増えて理解が広がるし、
プレイヤーを知ってる人は結構笑えるし、ずんとくるとこがあって理解深まる、そんな良い創りの芝居だった

ただしfuck/fucking〜とかwankerとか品のない言葉は何度でも出てくる
まぁそれも英国あるあるといえばその通りだけども


絶対PK失敗のアレで開幕でしょと思ってたら予想通りすぎた
選手役で(ストーンズとかがいないにもかかわらず)固定でダイアー居るからこれ絶対コロンビア戦のPKネタあるんじゃんと思ってたけどそれも的中

でもユーロ後のPK失敗組に対する人種差別のあれこれはもっともっと尺を使って語るのだろうなと思ってたから、予想に反してすごくあっさりだったのが正直やや残念に思った
けど短く切り上げてテンポよくtaking the kneeとW杯のrainbow armbandの話に繋げてまとめたかったのかもしれない
でもカタールのそのへんの話題も急ぎ足だったので、あの頃の他国チーム含めたゴタゴタを知る者としてはもう少し語って欲しかった気がしてしまう

それでも、サウスゲイトが選手を思い(途中で道を分つものの)心理学者を取り入れ選手を守りつつもFA内部からチームを変え、それが次の未来を創り…というあれこれに胸熱くなったし最後はまんまとスイートキャロライン歌いたくなる

あの箱状のものがドアであり、ディスプレイであり、選手のロッカーであり……歴代の代表ユニを並べて時の流れというか歴史を無言で語るのうますぎて演出に震えた

実際の映像をバックでモノクロで流すのが過剰でなく良かった
円形ステージとそれに平行に設置されたリング状の照明が、ウェンブリースタジアムのアーチのアレを思い出してなかなかいい表現だった
ただし音響的には別にスタジアム観戦している体験には近くもなくて、むしろテレビの前で試合を観てるような感じだったので、それが尚更鑑賞者には親近感があったのではないかと思った


big samはネタにするけどロイホジソンは話題にも出ないし批判しない優しい造り

観てるこっちは(流石にサウスゲイトの現役時代は知らないけど)2016年からのイングランド代表チームの成績や選手知ってるけど、役者の皆さんがとにかく本人に寄せようとしてた努力がうかがえた!ケインの喋り方とか、ピックフォードのマッケムとかね
日本語字幕には反映されてないけども、仲間うちでは”H” とか“hendo”って呼び合ってる、あの辺も再現性高くてああーそれそれ!ってなる部分が多くて楽しかった
ただヘンドはなんであんな頻回に唸ってる人になってたのか知らないしそんなに訛りが徹底されてなかった(けどnoだけは本人ぽくて笑う)
ダイアーのあのアクセントのない英語とか真似するの難しそうだったし実際そんなに喋りはダイアーじゃなかった
スターリングも別に”あの”走り方じゃなかった
マグワイワアなんて本人の100倍いい男だろ

ただデレが荒れてたあれとか彼のおうちの話とかは、本国ではゴシップになってたから蹴球を知らなくてもわかると思うんだけど、日本の人にはプレミアとかある程度知ってたとしてもわかりにくいかも知れないんだよね…

あと、イングランド国内の人たちの訛り含め似せ方は理解の範疇だけど(まぁテリーザメイもリズトラスも似てない、そしてボリスジョンソンは悪ふざけの部類)
国外の人たちのあれは失礼じゃ無いのかなーとちょっと思った
サリナヴィーグマンあんな喋り方じゃなくない?女子世界王者の監督よ?リスペクトは?

ちなみにハリーケインはクラブではキャプテンではありませんでした、ロリスです
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