さよなら僕のマクガフィンたち

落下の解剖学のさよなら僕のマクガフィンたちのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

真実がはっきりする類のエンターテインメント作品ではありません。
法廷劇として一応の結論はでますが、結局、サンドラが殺したのかは不明のままもやッと終わりますが、映画が訴える多面性、物語の持つサスペンス性、夫婦倦怠ものといった面白さを十分に楽しめて、満足でした。(ただ、子を持つ親としては辛い内容ではありました)。

聞くに堪えない夫婦喧嘩や、スヌープがアスピリンを大量に飲ませるシーンなど衝撃的なシーンは刺激が強すぎるシーンとして印象深い。
また、サンドラがバイセクシャルで不倫もしていたことなど法廷で明かされる過去や、これまた聞くに堪えない過去出版小説内容からの推測。思えば、最初のシーンでのインタビューも、小説の内容は経験からきているのかを問われ、サンドラがはぐらかす構造となっていました。

やはりもっとも印象に残っているのは、ダニエル君ですよね。僕はどうしてもサンドラが殺人をしたとしか思えないのですが(最後スヌープがサンドラに添い寝するシーンから、スヌープは本当はサンドラになついていて、サンドラの指示でダニエル君を外に連れ出した説)、であればダニエル君の最後の証言はダニエル君が今後背負う荷物の重さたるや・・ってことになります。これは想像するに辛すぎます。

家族崩壊もの、夫婦倦怠ものとしては見てらんない(褒め)。
法廷ものとしては弁護側も検察側も裁判長もみんないいキャラしておりまして、とても見ごたえがありました。また、基本的に監督の手腕も光っていて、法廷でサンドラがダニエル君を見つめる描写や、サンドラ君の頭ごなしに弁護士と検察官が口論するシーンではずっとダニエル君を映すなど、この監督映画うまいなあと思うシーンがたくさんありました。